繰り上げ返済の落とし穴


住宅ローンの返済が始まると、とにかく早く住宅ローンを終了しようと、繰り上げ返済をがんばる方がみえます。
もちろん、完全な余裕資金で繰り上げ返済をする場合は、まったく問題はありません。
しかし、余裕資金でない資金を繰り上げ返済の資金として使ってしまうと問題が生じてきます。
まず1つめの問題は、車の買い替えなどの大きな支出でローンを組むと、毎月の住宅ローンの返済額に加えて、車などのローン返済額が5~10年間にわたって月2~3万円増えることになります。
確かに、繰り上げ返済で、借入期間を短縮した場合の住宅ローンの金利負担額は減りますが、毎月の家計収支としては、他の返済が増える分が家計を圧迫します。

2つめの問題は貯蓄を減らしてしまった時に、収入が大きく減るような事態が継続して生じたときです。その間もローンの返済は待ってくれませんし、生活費は同じようにかかります。他から借りてしまうのは、やはり毎月の返済額の合計が増えるため避けたいところです。そのためにも、資金の確保は必要です。一般的には半年~1年分の支出相当額を確保しておくことが望ましいとされています。もちろん将来の教育資金や老後資金の確保は別枠です。

3つめは、繰り上げ返済資金の確保のために頑張りすぎることです。もともと、住宅ローンを30年、35年と組んで返済が無理なくできると設定していれば、無理に繰り上げ返済はする必要がありません。
数年のがんばりだけで、どうにかなるものではありません。自分の家を持つということは目的ではなく、なにかを実現するための手段です。生活の潤いがまったくなくなるような無理な資金のねん出はをどう思われますか?

とはいっても、繰り上げ返済の利息軽減効果は大きいのも事実です。借入額にもよりますが、返済開始5年経過したときに100万円の繰り上げ返済(期間短縮)をすると、18か月前後は、返済期間が短縮でき、その分の利息もなくなります。

振り出しにもどってしまいますが、やはり住宅ローンを組む際に、無理なく返せる金額で借入することがいかに重要ということが、繰り上げ返済からみても分かってきます。
さらに、繰り上げ返済は、余裕資金でおこなうことが重要です。

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