住宅ローンの種類と仕組み

適用金利の見直し間隔により3種類に分かれます

変動型

「6か月ごとに適用金利が変わります」

6か月ごとに適用金利がかわります。基準日(多くは4月1日と10月1日)に適用金利の見直しが行われます。その2か月後もしくは3か月後の返済日から新しい金利の返済となります。35年返済の場合は、69回の金利見直しが行われます。

「毎月の返済額は5年間変わりません」

融資契約の特約で、6か月ごとに適用金利が変わっても、毎月の返済額は5年間変わりません。返済額のうちの元本と利息の額が、金利の上下にともない変わります。金利が上がれば利息が増え、元本の返済が減ります。
実際に半年ごとに、毎月の返済額が変わる金融機関もあります。

「125%ルール」

5年経過時の月返済額は、最大でもそれまでの期間の125%(1.25倍)までに抑える特約です。
それまでの月返済額が7万円であれば、どれだけ金利が上がっていても、87,500円の月返済額が5年間続きます。

「未払い利息が発生する可能性」

毎月返済していても、金利が3%程度上がると、毎月の返済額が全額利息になるばかりか、利息の支払いが足りず、元本はまった減っていない状態のことです。最後に未払いとなった利息をまとめて支払う方法と毎月の返済額を増やす方法があります。

例)借入額3000万円 借入期間35年 当初金利0.6%
(1)3年後の金利1.6%の場合
   当初 :79208円(元本64208円/利息15000円)
   3年後:79208円(元本42318円/利息36266円)

(2)3年後の金利2.6%の場合
   当初 :79208円(元本64208円/利息15000円)
   3年後:79208円(元本19261円/利息59947円)

(3)3年後に金利3.6%の場合
   当初 :79208円(元本64208円/利息15000円)
   3年後:79208円(元本    0円/利息79208円)+未払い利息3796円

返済していても、元本が減っていないことが分かります。
金利上昇局面では、利息支払いの大判振る舞いのような状態になります。

「当初5年間の金利優遇幅は特に大きい」

当初の5年間は、基準金利(店頭表示金利)よりの金利引き下げ幅が大きく設定されて、当初の5年間以降は金利引き下げ幅が縮小します。市場の金利がそのままの水準でも適用される金利が上がります(利息の支払いが増える)。

「貸す側にとっては、もっとも借りてほしいタイプ」

市場の金利の上下動にともない利息を得られるため、低い金利で長い期間にわたり貸してしまって、得られるはずの利益が得られないリスク(金利変動のリスク)が金融機関にはないため、金融機関がもっとも借りてほしい金利タイプです。

「毎月貯蓄をできる人、金利上昇に備えて資金を準備してる人が選ぶタイプ」

将来の金利が上がり、毎月の返済額が増えた場合に、対応できる人が選ぶタイプです。
返済額が増えることで家計がひっ迫する方は、長い返済期間を考えると返済が困難になったり、ローンを返済するための生活となってしまう可能性が高くなってしまいます。

ホームに戻る
                         

固定期間選択型

「当初の固定期間中の適用金利がかわりません」

選択した1~20年の固定期間の間は、市場金利に関係なく適用金利が変わりません。固定期間終了後は、変動型にするか再度固定期間を選択します。再度、固定期間を設定するときは、手数料が必要になります。
金融機関により選択できる固定期間は異なります。
2~5年の固定期間の適用金利を半年ごとの変動金利タイプよりも低く設定して、顧客獲得を図っている金融機関もあります。

「125%ルールはありません」

当初の固定期間終了後の月返済額の増加の上限がありません。そのときの市場金利に連動して変わります。
例)3000万円 35年 当初10年間の金利 1.1% 
(1)10年以降 金利1%上昇の場合 月返済額86091円 ⇒ 96772円

(2)10年以降 金利2%上昇の場合 月返済額86091円 ⇒ 108213円

(3)10年以降 金利3%上昇の場合 月返済額86091円 ⇒ 120389円(返済額が139%UPしていることになります)

「固定期間中に変動型にはできますが、別の固定期間選択型には変更できません」

固定期間中はいつでも変動型に変更できますが、自分の金利タイプの金利が上昇しているときには、他の金利も上がっています。しかも、最初の借入期間ではないため、金利の優遇幅が小いさくて適用金利が上がってしまう(毎月の返済額が増える)ため、金利タイプの変更は容易ではありません。

「当初の固定期間の金利優遇幅が大きい」

基準金利(店頭表示金利)からの金利優遇幅が大きいため適用金利が低くなります。固定期間終了時に再度、固定期間を選択すると金利優遇幅が小さくなり市場の金利が同じでも適用金利が上がることになります。借入全期間にわたり、基準金利からの金利優遇幅が同じ金融機関もありますが、当初の適用金利が高く設定されています。

「固定期間が長いほど、金利を高く設定」

固定期間選択型では、固定期間が長くなるほど、基準金利(店頭表示金利)も高く、それにともない適用金利も高くなります。
顧客獲得のため、一時的に、5年固定のほうが、2~3年固定よりも適用金利が低いという状況が発生しています。

「貸し手側が2番目に貸したい金利タイプです。(1番は変動型)」

変動型を選ばれなかった方に、2番手としてすすめられる金利タイプです。当初の固定期間終了時に、その時の市場金利にみあう金利に設定でき、利益を確保できるからです。
支店を構える金融機関の維持費(人件費や設備費やシステム費など)は、金利換算で1%~1.3%程度以上はないと赤字だと試算されています。最初は、損をしてでも他の金融機関との競争上では適用金利を下げざるを得ず、当初の固定期間終了後に利益を出すだす構造になっています。


                       

全期間固定型

「借入全期間にわたって適用金利がかわりません」

低金利時にまず第一に検討すべきタイプです
借入の全期間中、融資時の金利が適用され月返済額がかわりません。
融資を受けた時点で、毎月の返済額、総返済額がいくらになるか確定しています。
市場金利の変動に影響されません。

例)借入額3000万円 借入期間35年 金利1.5%
  毎月返済額:91855円
  総返済額 :38570239円

「借入時は、他の金利タイプよりも金利が高く設定されている」

金利が高めに設定されているため、当初は他の金利タイプに比べて月返済額が多くなります。このため、他の金利タイプを選択する方が多い状態です。
市場金利が上昇すると、他のタイプと比較して、月返済額が少なくなる場合がでてきます。

「家計収支の計画が立てやすい」

返済額が一定のため、将来にわたり、家計収支を計画的に把握できます。住宅ローンの返済増を考える必要がないため、他の支出(基本生活費や教育費などの自分でコントロールできるもの)の増加への対応だけで済みます。

「金利の変動リスクは、貸し手側が負います」

借りる側には、市場金利が上昇しても、適用金利は変わらないため、金利変動のリスクはありません。
貸す側にとっては、市場金利が上昇しても、低い金利のまま融資を続けることになるので、その資金を他の高い金利の融資をして得られるはずの利益が得られないことになります。そのため、一般の金融機関の全期間固定金利は、現在でも金利が3%弱と高く設定されています。
住宅金融支援機構の「フラット35」のように、全期間固定金利でも、現在の金利が1%台の前半で推移している住宅ローンもあります。

フラット35の詳しい説明はこちら

「他の金利タイプから変更することは、超低金利局面で借入れた住宅ローンにおいては、困難です」

自分の選んだ金利タイプの金利が上昇しだして、返済額の増額を回避したいと考えて、全期間固定金利タイプの住宅ローンに変えようと思っても、その時には、どのタイプの金利も上昇しているため、当面の月返済額が現状よりも増えることになります。さらなる将来の返済増を回避するために当面の返済額を増やすことになるのです。
あなたは、この方法を選択できますか?

「市場金利の動向を気にしたくない方は、迷わず選択」

全期間固定金利で、かつ、超低金利のため、住宅ローンの借り換えの可能性も低くいため、金利動向には無関心な方でも安心です。
他の金利タイプは、市場金利の動向をずっと気にかけられる方に向いています。
                      

低金利時代に考えるべきこと

「将来の金利上昇リスクにどう対応しますか?」

現在の住宅ローンの金利は、超低金利といっても過言ではありません。過去には、金利が高いときは年8.5%ほどありました。
現在の超低金利がいつまで続くかは誰にもわかりません。金利はかなり先まで上がらない主張するアナリストや評論家がいても、その方たちがあなたのローン返済を肩代わりしてくれるわけではありません。自身で備えるしかないのです。
全期間固定金利を選択しない方は、適用金利が上がった時に、毎月の返済額が増えても返済できるかどうかを、借入前にシミュレーションをしておきましょう。この超低金利の時期に住宅ローンを組む人は、少なくとも3%の金利上昇のシミュレーションは必要です。

「金利タイプの変更は難しい」

自分の選択しているタイプの金利が上昇しているときは、他のタイプの金利も上昇しているため、金利タイプを変更すると、当面の月支払額は、それまでよりも増えてしまいます。将来のリスクを減らすために、今の支払いを増やせますか?なかなか難しい選択だと思いませんか?

「全期間固定型の金利低下のリスクは無視できます」

全期間固定金利を選択すると、将来金利が低下したときに、返済額が減る恩恵を受けられないのがリスクといわれますが、これは、金利が高い局面で借りた場合です。今のような超低金利のときに、さらに金利が下がり得られるメリットは相当小さく、むしろ市場金利が上がったときにも、適用金利があがらないメリットはかなり大きくなります。

「変動型の記載内容がとくに多い理由」

借りる側にとっては、リスクが高く、頻繁な適用金利の変更や仕組みの複雑さから容易に将来のリスクを実感できなくなっているため、説明が多くなってしまいます。
どの書籍をみても、3つの金利タイプの解説で、変動型がもっとも多い文章量になるのは同じ理由だからです。

「住宅ローンの検討では、まず全期間固定金利タイプから」

当初の返済額は、もっとも高くなりますが、試算の結果で家計収支に問題がなければ、リスクが低いので第一の選択肢とすべきです。
他の金利タイプを選択したい場合は、3%程度までの金利上昇シミュレーションをして、月々の返済額や総返済額の増加見込みを確認してください。家計収支上の問題がない方は、変動型や固定期間選択型も選択可能です。

「住宅ローンでは、借入にかかる諸費用も比較します」

借入の時にかかる諸費用も含めて比較検討すべきですが、現在の超低金局面では、将来の金利上昇のときの返済額増加の累計額のほうが、借入時の諸費用の差額よりもはるかに大きくなります。今は、諸費用の比較よりも、優先すべきは金利上昇リスクへの備えです。


ホームに戻る